質問回答その⑤

Q:企画として、現行のトレンドに乗っているモノ以外のジャンルに対する、編集部様の見方などは如何でしょうか?例えば本格的SFやガンアクション、戦争物などそう云ったジャンルに対しての姿勢と云いましょうか、見方というか、そう言う作品に対する評価をお聞かせ頂ければ幸いです。


 ハードルは相当高いと思います。

 「不可能」とは言いません。言いませんが……プロット作成の前段階、編集様への新作案提示で、本格SF、ガンアクション、戦争物を出し、そこを突破出来るかは分が悪いとしか(百合・ダークファンタジー・男性向け和風ファンタジーも同様)。

 それは何故か?


1.最初からどうしても、読者層が限定されてしまう

 現況のラノベ市場は、1巻が売れない=死です。

 2巻以降から盛り返す事例もあるにはありますが……再現性がありません。何故売れたのかの、定義付けが出来ないんです。

 なので、SF等々で挑みたいのなら、マイノリティにではなく、マジョリティへ訴える強いとっかかりがないと、難しいかと思います(「幼女戦記」が売れたのは、そこのフックが強かったのも大きいんじゃないかと)。


2.どうしても内容が小難しくなってしまう

 SF等々の内容を、それを知らない読者へ伝えるのって想像以上に難儀です。ロボット物作品でここ十年来「売れた!」と言えるのは、片手で足ります(※それらにしたって、古典的なボーイ・ミーツ・ガールをある程度前面に押し出している)。

 最低限の説明で済ませ、かつ面白さを担保する……書き手が将来を嘱望されているなら、PV・CM等で大々的支援(映像情報によるバフ)を得られますが、予算は有限です。がっつり書きたいのなら、大手レーベルの大賞を奪取するしかないかと。


 結局のところ、「そのまま」では話になりません。

 強いフック+編集様を納得させるに足る圧倒的な面白さ=ようやく、前向きな話の遡上に上がる、と思ってください(もしくは、独自路線を突き進むガガガ文庫等でデビューするかです)。

 僕の初代担当編集様が言っていました。


「書きたい作品があるなら、その前にまず売れろ」(※数百万部を売り上げろの意)


 至言かと思います。


 他、ありますかー?

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ラノベが出来るまで(2024年版) 七野りく @yukinagi

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