逃げない大人。それが奇異に見える

世の中には「なんで、ああしているんだろう」と思う人がいるものです。

砂風呂おじさんは全裸で砂に埋まっているから、少年から逃げることができません。
少年の残酷な尋問も、性の目覚めも、そして罪を犯してしまっても……ずっと砂に埋もれ答え続けている。でもいざという時は、全裸でも立ち上がってくれる……。
それが世の中の「良識のある大人像」から外れていて、交番に連れて行かれたりするわけです。

砂風呂しか接点がない二人。
ごまかす大人が多い中、いちいち素性なんか聞いてくれるな。大人ってのは、向き合えるかどうかなんだ。そう思える作品。

結末は書かれていませんが、山に向かったようです。
一緒に死体を埋める「匂わせ」だと解釈しましたが、まあこのおじさんならどうにか着地させるだろうと、ここで終幕。
一から十まで聞きたがるのは野暮ってもんでしょう。