危うい均衡の上に成り立つ拠り所で正常に狂っている迷い子たち

訳ありな主人公の少女が、ソトとは違う理で回る街・カタブキに流れ着き、生きる話。

言葉で語るよりも、心で感じて、そのまま自分の中にしまっておきたい作品だと思いました。
でもちょっとだけ言葉にしてみます。

 夢の中のような足元が覚束ない感じがするのは、きっとテコナの過去やカタブキでの現在に「未知」が多いからというのもあるでしょう。蝶が幻想的なのも。少し暗くて、ねっとり肌にまとわりつくような空気やホラー特有の気持ち悪さなども感じることができました。
 各登場人物に謎を持たせたり、カタブキがどんなところなのかわかっていったりの情報の出し方が巧みです。レイティングシーンも。常に興味を引かれました。
 カミサマも怪異も異能もあるけど、中でも存在感を覚えたのは場所や人間の闇と病みです。これらは一概に異常や悪いものというわけではなくて、人間の大事な一部でもあって、時には抱きしめたって良いのだと思いました。

 これから何が明らかになるのか。物語はどこへ向かうのか。非常に気になります。引き続き、見守っていきたいです。

(※「メモ4」までを読んでのレビューです)