現代社会の中にありながらも、それらから隔絶されたかのように独自のルールを持つ街・カタブキ。
そんな街にやってきた〝蝶の見える少女〟テコナ。
家から出てきたテコナには居場所がありませんでしたが、このカタブキが彼女の新たな居場所になっていきます。
親しい友人もできて、序盤に比べるとどんどん明るくなっていく……のですが、テコナの思考は常にどこか危うさが感じられるのです。何か一つのものに依存してしまっているような、大事なもの以外どうでもいいと思ってしまっていそうな……それがテコナ本来の人間性かもしれませんが、同時にカタブキという街に染まっていっているからかもとも思えてしまいます。
それでもテコナが平和に過ごしてくれればいいなと思ってると、何やらそのカタブキに暗雲が……。
現代社会に居場所のなくなったテコナと、彼女の出会ったカタブキの人々を取り巻く危険な思惑――切なくも美しい結末をご覧ください。
ニュース番組では繁華街にたむろする少女たちが映り、SNSでは扇情的な装いの女の子が流れていきます。君子危うきに近寄らずじゃないですけど、あっち側のことだと思ってました。そんなアンダーグラウンドな現代社会の闇。でもこのダークファンタジーは読者をそんな近づけない危ないところに連れて行ってくれます。
そしてそこにいる人たちは僕たちの知り得なかった様々な事情を抱えて現在があり、僕たちと同じ血の通った人間なのだと思わされるのかもしれません。
表の世界から逃げた二人の少女は蝕まれてしまうのでしょうか? 過去の呪わしい事件と今そこにある怪異、追跡劇。どうか、この小説が終わる時、二人の少女に寄り添える居場所があらんことを。
ちょいスプラッタで血の匂いがするファンタジーアクション、虐待サバイバー、そして切ない百合、繊細で凶暴で美しい。
訳ありな主人公の少女が、ソトとは違う理で回る街・カタブキに流れ着き、生きる話。
言葉で語るよりも、心で感じて、そのまま自分の中にしまっておきたい作品だと思いました。
でもちょっとだけ言葉にしてみます。
夢の中のような足元が覚束ない感じがするのは、きっとテコナの過去やカタブキでの現在に「未知」が多いからというのもあるでしょう。蝶が幻想的なのも。少し暗くて、ねっとり肌にまとわりつくような空気やホラー特有の気持ち悪さなども感じることができました。
各登場人物に謎を持たせたり、カタブキがどんなところなのかわかっていったりの情報の出し方が巧みです。レイティングシーンも。常に興味を引かれました。
カミサマも怪異も異能もあるけど、中でも存在感を覚えたのは場所や人間の闇と病みです。これらは一概に異常や悪いものというわけではなくて、人間の大事な一部でもあって、時には抱きしめたって良いのだと思いました。
これから何が明らかになるのか。物語はどこへ向かうのか。非常に気になります。引き続き、見守っていきたいです。
(※「メモ4」までを読んでのレビューです)