めちゃくちゃ無造作に並べられている

最初期と比べてどんどん上手く(短歌っぽく)なっているのだが、
だからこそ第一回に書かれてあるような歌の率直さが面白い。
短歌というよりはエッセイ的、日記的な良さがある。
ただこの路線でずっと詠んでいるとさすがに単調だっただろう。

また、「短歌」のイメージにそぐわない率直さを極めていくと上品な人々からの顰蹙を呼ぶ可能性もある。
〈極めて率直に日常の怒りや悲しみをとことん主観的に書く〉というのを極めれば
「足をぶつけたから世界は滅びろ」みたいなカタチになりかねない。
こうした才能はロックンロールの作詞やそういう芸風のエッセイ等で今後発揮されるかもしれない。

短歌ではモチーフや設定がどんどん多様化し、
表現も上手くなっている(ここにボカし効果や上品に見せる効果もあるだろう)。
短歌らしい、より堅実で真っ当なカタチになった。

とはいえ今の歌もそれだけ見ると十分にトガっている。
無造作に歌が並んだ「青い日記」は「記録」意識が強く変化がわかりやすい。
この「芸術意識」と無縁の無造作さはイケてると思う。
今後の変化も観察したい。