きっといくつになっても甘えたくなる存在

タイトルと導入部分から、どんなドロドロした物語が展開されるのだろうかとドキドキしていたのですが、久人が登場してから流れが変わったように感じました。いい意味で露悪的だと。

主人公が抱える、女子のヒエラルキー上位者だからこその摩擦や葛藤。
それをおそらく見抜いたうえで、それでも世春は彼女の前ではずっと『よはねぇ』で在り続けたのかな、なんて。

ラストの二回呟かれる「ばかねえ」という言葉。
一回目は子どもが背伸びしようとして「ばかねえ」とあくまで一線を引いた大人という立ち位置から出た言葉で、二回目は聞き分けのない妹分に対して呆れといじらしさからでる、姉としての立ち位置からの「ばかねえ」だったように思います。

いいなあ、この二人の関係。
きっとこれからも、競ったり見栄はったりしつつ、それでも嫌なことがあれば本音で話せる仲の良い姉妹みたいな関係性が続くのだろうなあ。


ある意味ドロドロになった展開でしたが、ため込んでいたものが全て表に出たような晴れやかな気分になれる物語でした。