ルッキズムの呪縛と夏の魔物。若き日の過ちを、気づかせてくれた存在。

ルッキズムを巡る、3つの視点。
一つ。おしゃれは自分のためではなく、他人に勝つためにするものという、競争本能に基づくもの。

二つ。ルッキズム勝者として得られる、数々の果実。例えば「男選びのし放題」「ルックスを活かし、高時給の接客業に就職」など。

三つ。ルックスと自己肯定感は、置かれた環境によって決まる、相対的なもの。主人公ちゃんも「自分のライバルが不美人ばかり」の環境なら、悩まなかったでしょう(オタサーの姫という意味で)。

ただ、美人薄命と言われるように、そこには落とし穴もある。
夏の魔物を巡る一夜で、反目したはずの義姉妹が、同じ悩みを抱えていたと分かる。
痛みを伴う、地平の融合。

ルッキズム勝利に胡座をかき続け、人生を座礁させた人もいる。
若き日の過ちを、若い内に気づかせてくれる人の、ありがたみが分かるお話。