夾竹桃
すらかき飄乎
夾竹桃
乾いた土の上には、幾つもの蟬の屍骸。
旦那どうです? 一つ乘せませう
慌てゝ手を振つて斷つたら、口に物を入れた
待合所には、
長椅子に腰を下ろした途端、どつと汗が吹出た。
天井の
入口に
見遣れば、四角に
近附いて來る所を見ると、どうやら半知りの顏である。
挨拶をしたものかどうか、
おや〳〵どういふ
烟草を呑み
莫迦にしてゐる
憤然と立上りつか〳〵
君、今日は
異な事を云ふものである?
……!
靑白い顏がしとゞに濡れてふやけてゐる。
汗なんぞではない。
思はず掌で鼻と口とを覆ひ
なあに、日本人でなくつても、支那人でも、朝鮮人でも
一つ、けたゝましく遣りませう
蟬は
<了>
夾竹桃 すらかき飄乎 @Surakaki_Hyoko
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