表題のとおり、全編を通して、古語と文語で貫かれた古式ゆかしい詩集です。かなり比喩や擬人表現も個性的なので、初見では面食らうかもしれません。ですが、段々この調子がクセになってくるのです。五七調の唱歌を思い出すような懐かしさもあれば、神事で奏上するような祝詞を彷彿とさせるものもあり、切れ味の鋭い破調で貫かれた詩までと、多岐に渡ります。うーん、この空気感を文章化するの難しいな。でも、更新があると「待ってましたー」ってなるんです。あと、大変、古語の勉強になります。
旧仮名遣ひの旗手が贈る傑作詩集です。舞台も登場人物も多彩ながら、讀み手は何処か見知らぬ異邦のやうな幽玄の境地に勾引かされます。上田敏や堀口大學の古典的名訳を読んでゐるやうで、其れでゐて現代に連なる感性も受け取れる、實に不思議な読後感。詩が持つ本来の多様性と自由奔放な文藝の在り方を想ひ起します。此のタイムスリップ感を味わられよ。