【SF小説】 ぷるぷるパンク エピローグ

●2036/ 06/ 21/ 06:04/ AG-0周辺


 微かな光の気配を瞼の裏側に感じ目を開ける。草むらの中で朝露に濡れた体を起こすと、既に朝になっていた。 大野琴を送り出した後、崩壊を始めていたAG-0を単身脱出し、一行を待つ間、幻覚マーヤー状態に陥った。 目を覚ますとみんなが待っていると思ったから、少し拍子抜けだった。それとも、これもまだ覚めない夢の中なのだろうか。


 波が打ちつける音がして、潮風の香りがした。


 いつかノースがサウスに歌っていた子守唄を口ずさむ。歌詞はわからないけど、優しくて柔らかくて、日向に干したガーゼのブランケットのような、お日様の匂いがするメロディ。


 両腕を枕にもう一度仰向けになっていつまでもそのメロディを繰り返した。 見上げると、透き通った青い空に張り付いたような幾つもの穴の中から無数の「無」が覗いている。


 遠くからぼくを呼ぶ声がした。 声は、だんだん、近づいている。 誰かが草むらを走る音、息を切らす声。


「九頭竜くん。よかった。」


 おわり

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