苛烈なる復讐劇の開幕、その先に光はさすか――?

 主人公はどこにでもいるような大学生だった。講義を受け、成績は優秀。冗談を言うような友達もいて、彼女もいる。飲食店でアルバイトをしたり、ゼミに誘われたり、インターンに行くような男子大学生だった。ただ、彼は血の繋がらない両親に育てられた。主人公はその両親の愛情を受け、成長していた。しかし、彼女の父に挨拶に行ったときに、主人公のターコイズの瞳を見た彼女の父親は、何故か主人公に怯えた。
 そして、主人公の彼女とその父親は、人間には不可能な状態の死体となって発見される。しかし、これは連続殺人の始まりに過ぎなかった。次々に名誉も名声も手に入れた男たちが、人間には不可能な殺され方で殺されていく。
 殺された男たちには、ある共通点があった。
 そしてある男から主人公に届いた手紙と前後して、ある老齢な男のもとにも手紙が届く。その手紙には、一言だけあった。ヒントが欲しい、と。

 主人公が抱えていた秘密が明かされた時、物語は大きく動き出す。
 果たして、主人公は殺人事件にどのように関わっているのか?
 プラハ伝統のマリオネットと、ファンタジー。
 そして、魔女の火刑の秘密とは?

 この物語の場所はプラハなのですが、まるでそこにいるような情景描写が素晴らしく、序盤から引き込まれました。展開も計算されていて、今まで復讐モノを読んだことがない小生でも最後までテンションが上がりっぱなしでした。これは大賞物だと、読むたびに思わされた一作でした。

 是非、是非、御一読下さい!

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