主人公で塾講師・硯徳(スズノリ)は、両親を火事で亡くしてからは妹(料理下手)と2人で暮らしているが、何かと問題の多い妹への愛が強く25歳にして彼女歴無しだった。
そんな折、町を活性化するためスズノリも参加している青年部で町主催の婚活パーティを催すことになった。男女20名ずつの参加者にはスズノリも妹もいた。
隣町から来た男たちがパーティを台無にさせようとしたが、青年部たちの用意周到さで事なきを得る。しかし、そのパーティのあとでは会場となったレストランが放火されるという事件が起こる。しかしそれはさらに大きな事件の始まりだった。
感想:この物語の主な舞台である猿上町では、「猿上町では死んだら風になる」「鬼に魅入られたら鬼になる」という不穏な言い伝えがある。
また、冒頭で夏目漱石の「こころ」について語る不気味な男など、各所に様々なキーワードが配置されていて、町の住人たちの日常のなかに潜む何者かの存在が感じられ、非常にミステリアスである。
特に、町の住人達の背景や行動がリアリティ溢れていて、猿上町がまるで実在の町のように感じるところもポイントが高いと思う。
(妹さん、お味噌汁にシュールストレミングはやめたほうがいいと思います(;゚;Д;゚;))
オススメです🌳
主人公は両親を不慮の事故で亡くし、妹と一緒に生活を送っていた。主人公はこの妹が自立できるまで、兄として見守っていく覚悟でいた。その一方、主人公は私塾の講師として子供たちの人気者でもあった。
そんな中、商店街で街コン、つまりは商店街を舞台とした婚活イベントの企画に、主人公も参加することに。このイベントは、下火になってきている商店街を盛り上げるために企画したものだった。注目された参加女子は、春夏秋冬の文字が入る名前を持つ女性たちだった。その中には主人公の妹や主人公と親しい剣道女子の名前も挙がっていた。そして意外だったのが、作家の放蕩息子先生の正体で……⁉
つつがなく、婚活イベントが催されるはずが、犬猿の仲である隣町の妨害に遭ってイベント乗っ取られるかもしれなくなり……。
さらにその夜に火災が発生したことで、商店街を要する町の人々の様々な顔が明らかになっていく。
一体主人公はどうなってしまうのか?
そして主人公の妹は立ち直れるのか?
隣町と犬猿の仲という舞台設定が、ストーリーと合っていて、相乗効果を生んでいます。物語の中で「御神木」と引けを取らない大樹が出てくるのですが、小生的にそれが人々を見守っているようで好きでした。
是非、御一読ください。