僕の前に突然現れたのは、僕の軍師と名乗る美男だった!

 母のスパルタ教育を受けて育った主人公は、余命いくばくもない伯父さんから、代々家に伝わっている一つの壺をもらい受ける。それがすべての始まりだった。
 母は主人公の兄にピアノを押し付け、ピアノの才能がなかった主人公には勉強を押し付けた。その母からの束縛と苛烈な言葉に、ついに主人公と兄は修羅場を迎える。そこに壺の中から現れたのが、軍師を名乗る美形の男だった。
 その男はいかにも中国の歴史で見るような衣服をまとい、何をしても様になるという「人物」だった。代々受け継がれてきた壺に住まい、長い歴史の中で、主人公の血筋の者を頭脳で導いてきたのだ。一体いつから壺の中から軍師をやっているかと言えば、なんと平安時代からだった。
 一体何故、もともと古代中国の切れ者だった彼が、日本の一家系の者の軍師として壺の中に入ったのか? そこには時空も場所も超えた友情秘話があった。
 主人公は軍師のもとに様々なことを乗り越えていくが、ある時、軍師が住まう壺が割られてしまい……⁉

 果たして、軍師はどうなってしまうのか?
 そして主人公たちの行く末は?

 家族が崩壊寸前の中現れた軍師に、心惹かれる一作です。
 こんな秘密の軍師が小生にもいたらいいのに、と思わずにはいられませんでした。

 是非、御一読ください。

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