サマースタディ

このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む（405文字）

一般的っぽい女子高生と、地味な大学生の女性。

全然違う二人の交流は、なんだか胸を打つようで。

誰かが言わなきゃいけない大切なこと。そりゃ価値観はそれぞれだけど、自分の心に従わないことが、いいことなわけなんてない。

人生で大切なことはきっと、人との関りでしか学べない。

当たり前のことを倦まず、逃げずにしっかり伝える勇気と、聞きたくないことを、耳を背けず聞く勇気。そんな小さな、でも大事な勇気の物語です。

読むと、おそらく家庭教師の智子さんに意識が行くと思いますが、私は高校一年生の奈穂さんの心情描写に感動しました。
おそらく普通の女の子なんです。ごく普通の。でも彼女の心はとても悲しくて苦しくて、それを押し殺して生きてきたんでしょうね。自分でも分からずに。残念ですが今はこういう子がとても多いと思います。
彼女が徐々に明かす胸の内を智子さんは優しく受け止め諭します。素晴らしい作品でした。