白髪一本に「旅」を重ねる発想がとても楽しくて、読みはじめから自然と頬がゆるみました。老いという少し身構えてしまいがちな題材を、「おけけくん」という呼び名と距離感で受け取らせてくれるのが印象的です。髪の毛に記憶や日々が宿っていく、という考え方も、肉じゃがや涙、声といった身近なイメージで、すっと心に入ってきました。読み終えたあと、自分の中の小さな変化や時間にも、目を向けたくなるようなお話でした。
もっと見る