めっちゃ濃い六千文字。選び抜かれた言葉たちによるSFドラマ。

臓器提供牧場で飼われる少年少女の全六千文字のお話です。

生まれながらにして他者へ臓器(命)を提供することを目的に育てられる彼らが、憧れるものとは?
その憧れの先に待ち受けるものとは?

そんなストーリーですが、ほんとなら十倍くらいの文量で書いても良いくらいの設定や、テーマが盛り込まれているわけですが。

潔く二人のドラマだけに焦点を絞って描かれているんですね。
それでも違和感ないのは、臓器提供牧場という、閉鎖された世界で生まれ育った主人公だからなと感じました。

主人公が知り得る世界の情報がとにかく少なくて、彼の世界はひたすらに身の回りのことだけしかないんですね。
なので、物語の世界設定は膨大にあるはずなのに、少ない情報量しか本文中に提示されないことに違和感がなくて、むしろ臨場感を出してる。

それが重厚なSF設定を六千文字にまで落とし混めた理由かな、とそんなことを感じた作品です。

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