悪人に救いは有り得るか。これが至高のダーク・ヴェンジェンス(復讐譚)

 暴力が支配し、ピカレスク(悪党)が闊歩する町からスタート。しかも5話からは残酷で気合の入った拷問描写が多く、読む人を選ぶのは確かでしょう。

 それでもこの物語は「因果応報が徹底された公正さ」「純愛がもたらしたか細い希望」が詰まっており、決して凄惨なだけの話では有りません。
 主人公を含む、暗い魅力もある悪党たちの群像。悪党といえども善行を成すこともあり、その因果の導きが一片の救いをもたらします。

 舞台設定からして、バッドエンドは免れないですが。荒みきった町の風景と闇の中でこそ、人の想いがキラリと輝きます。身分違いの恋の思い出。そして主人公が成した、凄惨な復讐の末に待っていた運命とは。罪と罰と一筋の光が、読者を待っています。

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