第4話

香織と涼介は、シャドウの罠にかかり、地下の秘密の部屋に閉じ込められていた。部屋は徐々に水で満たされ、二人は必死に脱出方法を模索していた。


「ここまで追い詰められるとは思わなかった…どうする、香織?」

涼介は焦りを隠せず、香織に問いかけた。


「冷静に。どこかに手がかりがあるはずよ。」

香織は周囲を見渡しながら答えた。


突然、香織は部屋の隅で小さな装置を見つけた。「涼介、これを見て。何かのガジェットみたい。」


涼介はそのガジェットを手に取り、慎重に操作してみた。

「これ、ただの電子ロック解除ツールじゃない。高性能なハッキングデバイスだ。」


「どうやって使うの?」

香織が尋ねると、涼介は笑いながら、

「俺にもわからないが、何とかしてみよう。」と操作を開始した。


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涼介は何とか、ガジェットを使って電子ロックを解除すると、ドアが開き、二人は無事に部屋を脱出することができた。涼介は安堵の息をつき、「本当にギリギリだったな。誰かがこのガジェットをここに置いたのか?」

と疑問を口にした。


「ええ、偶然とは思えないわ。所有者を探してみましょう。」香織は決意を固めた。


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事務所に戻った香織と涼介は、ガジェットの出所を調べ始めた。涼介はインターネットで検索し、ガジェットに関する情報を集めた。


「このガジェット、普通のものじゃないわね。どこかで見たことがあるような気がする。」

香織は言った。


涼介は検索結果を見ながら、「確かに。このデザイン、技術の高さ…思い出した!前にニュースで見たことがある。小田切俊介という天才中学生が開発したガジェットだ。」

と答えた。


「天才中学生?そんな子がこのガジェットを作ったの?」

香織は驚いた。


「そうだ。彼は国際的な技術コンテストで優勝したこともあるらしい。しかも、門司港の近くに住んでいるという噂だ。」

涼介は続けた。


「なるほど。彼に会って話を聞いてみましょう。もしかしたら、シャドウの謎を解く手がかりを掴めるかもしれないわ。」

香織は決意を新たにした。


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香織と涼介は、小田切俊介が通う学校の周辺で彼を待ち伏せることにした。夕方の薄暗い時間帯、二人は車の中から学校の門をじっと見つめていた。


「学校の門前で待ち伏せなんて、まるで怪しい大人だな」

と涼介はぼやいた。


香織は笑いを堪えつつ、

「まあ、あの天才中学生に会うためには仕方ないわね」

と答えた。その時、学校の門からひとりの少年が出てくるのが見えた。


「あれが小田切俊介だな。行こう。」

涼介がシートベルトを外し、車から降りた。


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涼介は自信満々に前に出て、俊介に声をかけた。「君が小田切俊介君か?俺たちは探偵の藤田涼介と三田村香織だ。」


俊介は驚いた表情で振り向いた。

「探偵さん?何の用ですか?」


涼介は懐からガジェットを取り出し、俊介に見せた。

「君が開発したと思われるこのガジェットが手に入ったんだ。どうして俺たちの手元にあるのか、教えてくれないか?」


俊介はガジェットを見ると、驚いた表情から笑顔に変わった。

「それは僕の試作品だよ!どうしてそんなところに…」と呟いた。


香織は笑みを浮かべ、

「その話を詳しく聞きたいわ。君の協力が必要なんだ」と言った。


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俊介は興奮気味に自宅に香織と涼介を招待した。自宅のガレージは、まるで未来のラボのようだった。涼介は目を見張り、

「すごいな、ここは。俺たちの事務所よりよっぽどハイテクじゃないか」

と感嘆した。


俊介は自慢げに、

「僕はここで色んなガジェットを作ってるんだ。あのガジェットもその一つだよ」

と言った。


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俊介がガジェットの操作方法を説明し始めたとき、涼介は興味津々に聞いていたが、途中で

「待て、待て。もう一回ゆっくり説明してくれ」と何度も頼んだ。香織はそれを見て笑いながら、「涼介、そんなに難しい話じゃないわよ」

と言った。


俊介は涼介の理解力を心配しながらも、丁寧に説明を続けた。

「このガジェットは、電子ロックを解除するためのハッキングツールなんだ。セキュリティの高いシステムでも突破できるよ。」


涼介は満足そうに頷き、

「なるほど、そういうことか。君の技術は本当にすごいな」と感心した。


---


俊介はさらに、

「実は僕、最近シャドウという怪盗に興味があってね。彼の手口を研究していたんだ」

と言った。香織と涼介は驚いて顔を見合わせた。


「シャドウの手口を研究している?」

香織が尋ねると、俊介は頷いた。

「そうだよ。彼のトリックは本当に巧妙だ。でも、僕たちなら彼を追い詰められるはずだ。」


「よし、俊介。君の協力を得て、シャドウを追い詰める作戦を立てよう」

と涼介が決意を新たにした。

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