当屋敷の執事バトラーでございます。

さて皆さま、四人の語り手のお話、いかがでしたでしょうか。

今回もお楽しみいただけましたでしょうか。


本日の趣向は、四つの妖しい玉に纏わる逸話。

火を愛でる紅玉、悪気を撒き散らす黒玉、水怪を招く碧珠、そして記憶を喰らう白玉。


いずれ劣らぬ、不吉な物たちでございました。

二回目のお話に出てきた禍珠まがたまもそうですが、世の中には不吉な玉があちこちに存在しているようです。

決して気軽に触れたり、拾ったりなさらぬよう、くれぐれもご注意ください。


ここで本日お招きしたお客様方に、当屋敷より一つ、ご提案がございます。

先程語り手のミユキ様が仰いました通り、今宵のお話に合わせて、白玉だけでなく四つの玉すべてを集めて参りました。


もちろんすべての玉には、封印を施しておりますので、ご安心下さい。

ただ一つ、懸念がございます。


この四つの凶悪な玉を、一所に置いておきますと、この屋敷に悪を成すやも知れません。

屋敷・・執事バトラーであります、わたくしと致しましては、万一の場合を懸念せざるを得ないのでございます。


そこで本日の観客の皆様に、ご提案でございます。

この中の四人のお客様に、玉を一つずつ、手土産としてお持ち帰り頂きたいのです。


ご心配には及びません。

先程申しましたように、きっちりと封印を施しておりますので。


では、***様には、紅玉を差し上げましょう。

大丈夫ですよ。

主と認められなければ、決して火を望むことはありません。


次に黒玉ですが、〇〇〇様にお持ちいただきましょうか。

今のところ、悪気は貯めておりませんので、ご心配には及びません。


碧玉は×××様がお持ち帰り下さい。

封印が解けなければ、魔物を呼ぶことは決してありません。


最後に白玉は◎◎◎様に差し上げます。

ご安心下さい。

そっとしておけば、記憶を食われることは決してございませんよ。


さて、世を騒がせた妖玉共にも、無事持ち主が決まりました。

目出度し、目出度しでございます。


それでは本日の四物語は、以上を持ちまして幕とさせていただきます。

またの機会がありましたら、是非ともご来臨の程、宜しくお願い申し上げます。

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四物語ー参ー 六散人 @ROKUSANJIN

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