当屋敷の執事バトラーでございます。

さて皆さま、四人の語り手のお話、いかがでしたでしょうか。

今回もお楽しみいただけましたでしょうか。


実は今日お話し頂いた、語り手の中のお一方に、お届け物がございます。

マツイ様。


「えっ、私ですか?」

はい、マツイ様にお届け物です。

どうぞお手に取ってご確認下さい。


「げっ!こ、これは『禍珠まがたま』じゃないですか」

そうです。マツイ様があの日川に流された、『禍珠』ですよ。


「どうしてこれが…」

親切な方が拾って、届けてくれたのですよ。


「…」

おや?どうされましたか?


「私の話、聞いてましたよね?」

もちろんです。楽しませていただきましたよ。


「その上で、これを私に持っていけと」

そうですね。これはマツイ様の持ち物ですから。


「これって、神罰なんでしょうか?」

それについては、私からは何とも申し上げようがありません。ただ。

「ただ?」


ご覧になればお分かりと思いますが、その『禍珠』、災厄が詰まり過ぎて、もはや限界にきております。

くれぐれも取り扱いにはご注意下さい。


「ひいいい。何とかならないでしょうか?こんな物を持っていたら、私の命が…」


そうですね。では、あなたが神職をされていた神社に奉納されてはいかがですか。

元々その珠は、神社の蔵に眠っていた物ですから。


「そ、そうします。そうさせて頂きます。ありがとうございます」

お喜び頂けて何よりです。


さて皆さま。

失せ物も無事持ち主の元へ帰り、目出度し、目出度しということでございますね。


それでは本日の四物語は、以上を持ちまして幕とさせていただきます。

またの機会がありましたら、是非ともご来臨の程、宜しくお願い申し上げます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

続四物語 六散人 @ROKUSANJIN

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画