評者は本作を読み、言葉を無くしました。
皆様。本作をお読みになり、言葉を無くしてください。お読みになった後ならばお分かりいただけると信じています。
そんな「言葉を無くした」者が語るレビュー、「騙り」にならねば良いのですが。きっとお疑いでしょう。それでも一幕お付き合い願います。
ここに御座いますのは真に実直な恐怖譚。しかし悲劇にはあらず。当人たちにも裏が御座いまして。
怖い話は長広舌を振るえるものではありませぬ。そそくさと語って切り上げたいもの。それが良かったのでしょう。いずれの方も要点を押さえた手早い語り口をしております。
さて、この話は本当にあったのでしょうか。自然法則に照らしてどうも…… いや、実のことは物理学などで明かせぬのでしょう。特に、人の情と怨は。
やはり怖いのは人なのです。失礼。最後は蛇足となりました。