野性的で勇壮な帝、美しい年下の皇子。その間で揺れ動く貴妃の心
- ★★★ Excellent!!!
淑華は、大陸統一を成し遂げた皇帝・朱棣林の後宮に住む貴妃だ。
妃たちと皇帝の寵愛をかけて争っていたのも昔の話。
いまでは後宮で一番古株となりつつある貴妃。
若いころとは確かに違うが、まだ35歳。その美しさも耳目を集める。
だが皇帝が彼女に夜伽を求めることはなく、このままひっそりと朽ちていくのかと思われた矢先。
皇后が亡くなり、後宮の差配を任されることとなった淑華。
いままでとは打って変わって、忙しくも慌ただしい日々を過ごしていた時、都に舞い戻ってきたのは、辺境に追いやられていた朱威龍という悲劇の皇子。
彼は絶世の美女といわれた母親に瓜二つ。颯爽と馬に乗る様子に、都人もざわめいたという。
その彼が。
淑華に近づく。
淑華も、彼に目が離せず……。
皇帝と皇子の間で揺れ動く淑華なんですが。
なによりもしっとりとしたこの文体がいい!
作者様のエッセイもずっと拝読していますが、今回、「大人の恋愛」をテーマにされているとのこと。
なかなかに苦戦しながらこの物語を作り上げたという背景を知っているだけに、「なるほどこれは」とうなります。
ウェブ小説にはラブコメやドタバタコメディが多く、かくいう私もそういうものを好んで書いておりますが。
ときにはこのように大人の駆け引きをテーマにした恋愛などはどうでしょう。
ぜひおすすめです。