描かれるのは人の弱さと醜さ。最後に残るものは人の強さと美しさ。

母の浮気によって崩壊した家庭から逃れるために、
家出をして体を売って生きる女の子のお話です。

救いがない現実に、絶望しか描かれません。
徹底的に。

そこで這いずり回る登場人物は、みんな醜い。
やはり徹底的に

そんな人物たちの有り様は、どうしようもなく人の弱さを感じさせられる。
欲望や絶望を前にして、母としても娘としても、理想的には振る舞えない。

欲望に負け、絶望に膝を屈し、逃げ回る。
誰も理想的には振る舞えないのです。

でも、それでもなお、彼女が最後に選び取った選択は輝いている。

この作品で描かれるものは、徹底的に、弱さと醜さです。
でも、最後に目にするのは、強さと美しさ。
そんな物語です。

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