張り巡らした言葉が伏線となり、物語を浄化させる

主人公のハルは、良くも悪くも母の背中を見て育った女の子。

友人のA子の何気ない言葉や、ハルという名前など。至る所に伏線が散りばめられていて、鬱々とした物語が読み進める度に浄化されていく感覚を覚えます。

最後は幸福とは言い難いですが、現実はこうだよな……と、突きつけられる終わり方です。そして私もこの終わり方が好きです。いくらフィクションとは言え、身の丈に合わないハッピーエンドは白けてしまうので……。

なのでハルが少し前を向いて歩けるようになった。それが救いになる物語だと私は思いました。

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