2024年2月3日 0時33分
ご無沙汰してます。
日付が変わって2月3日になりました。
今日の晩、S岳麓一帯は「お籠り」の日です。
令和も6年。西暦では2024年。
夜でも灯りの絶えない現代にあって今でも律儀に「お籠り」をする家がどれだけあるのか。
俺自身も独り暮らしを始めてからは「お籠り」なんて一度もやっていません。仕事柄、夜勤の日もあったりするわけで。
でも今年はちゃんと「お籠り」します。そのために有休も取りました。
俺がTに対してしてやれることはもうそれしか残っていない。そんな気がするのです。
きっとTは戻りません。
詳しいことは言えないけど、Tは確かに「穢れ」を負っていた。
そして「お籠りの日」に仕事とはいえ、「山に入った」
開け放した窓から黒々と闇の中に聳えるS岳のシルエットが見えています。
白い男も、明治時代の夫婦にその赤ちゃんも、そしてTも。みんなまだS岳から降りて来ていない。全員あのS岳の中にいる。
始まりは一体何だったのでしょうね。
白い頭巾に白い旗。
葬列みたいな出で立ちでS岳に入ったE村の人々のせいなのか。山中に消えた彼等こそ一連の怪異の転換点だったのかもしれない。
そして現代も「白い集団」はまだS岳に現れる。10数人だったはずのものが20人近くに増えながら、まだ徘徊をやめない。
後、17時間後。
2月3日の日の入りと共に「お籠り」が始まります。
昼の内に買っておくものはメモしたし、準備はきっちり済ましておくつもりです。
万事ぬかりなくやっておくつもりですが、一つだけ心配な事があります。
雨戸も何もかも閉め切って行う「お籠り」
その最中にTの声で呼ばれても俺は果たして雨戸を開けずにいられるか。
それだけが心配なんです。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。それでは、また。
(了)
S岳のこと ぱのすけ @panosuke
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