女性が極端に少ないが、のどかで平和な村に隠されていた悲しい事実

主人公のイリカは13歳の少女。彼女が住む村は女性の数が、男性に比べて圧倒的に少なく消滅の危機に瀕していた。

とはいえ、彼女たちの暮らしは自然の恵みを最大限に生活に取り入れ、自給自足の平和的なものとだった。しかし、ある日、イリカは幼馴染のナオヤに導かれて聖域(図書館)と呼ばれるところに住む双子と接触し、ここから離れたところにある「穢れ地」という場所には図鑑などの本がたくさんあり、イリカ達の生活よりも発達した文化を持つ場所があることを知る。

イリカの親友の女の子アミはカイという少年と相愛で夫婦になりたがっていたが、カイが女児が生まれないハイザワ性ということで結婚の神託は粗暴な中年の男に決まってしまう。アミはそんな男を絶対に受け入れられない。しかしアミの親族は全員粗暴な男の味方である。

もう村にはアミの居場所はない。イリカは自分もそうなる運命もあるかもしれないと、アミとナオヤといっしょに穢れ地へ逃げることにする。


感想:村の暮らしが穏やかで平和そうなのだが、実際は結婚のできる若い女性が8人に対して男性が200人以上余っているという現実。

女性は複数の夫を持ったり、男性からいろいろ贈り物をされたりと大切にされている一方で15歳のアミは、祖母に「女児ができる可能性のある男」と無理やり結婚させられそうになるほど女性不足は切実。

そんな中でイリカの「好きな人と結婚できないなんておかしい」という言葉の真っすぐさは胸を打つ。また、アミの祖母の行動も一族の行く末を考えてのことである。大人の事情と子供の純粋さのせめぎ合いが丁寧に描かれている。

オススメです🌹



その他のおすすめレビュー

上田ミルさんの他のおすすめレビュー155