第30話 「終末レポート」と書かれた文書について

 「終末レポート」と書かれた文書は、「八瀬伊織」という人物のPC上で見つかったとされる文書。

 または終末レポートを書いたとされる「八瀬伊織」という人物そのものを指すこともある。


 八瀬伊織は、SNS上にて都市伝説や未解決事件の蒐集を行っていた人物とされている。ただし現在ではSNSのアカウントは停止しており、最後の投稿では親族を名乗る者が「現在、八瀬伊織を名乗っていた人物は行方不明である」としている。

 彼女は複数の都市伝説や未解決事件を纏めていたが、失踪直前に蒐集・または取材を行っていたのが「終末レポート」であり、彼女のPCに書きかけの状態で残されていた。どのような内容かは最後まで書かれていないため不明である。


 ただ、彼女がこの都市伝説を最後に行方不明になっているため、関連を疑う書き込みが相次いだ。

 中には彼女のまとめた蒐集録に実在する「週末レポート」の誤字説、あるいは世界の終末に関する提言や原因などが書かれたレポートの存在説などが現状有力視されている説である。また、取材中に実際に行方不明になっていることから、終末レポートの存在ではなく内容を知ったがために消されたなどとする説もある。


 ただし現在ではこれらに加えてもうひとつ説が存在する。それが、このレポートは個人的な終末に対するものではないかという説だ。これは「週末レポート」がとある大学内で出現する「大学関係者の直前の週末を詳細に記録しつつ、最後に死ぬ結末のみが異なるレポート」であることから、「終末レポート」は「何者かの終末を記録したレポートではないか」と推測された説。

 また、このことから「週末レポート」も本来、都市伝説として存在する「終末レポート」の内容を弄って改変したものではないかとも言われている。つまり「終末レポート」こそが八瀬伊織が行方不明になった原因たる真の都市伝説であり、他に公開されている都市伝説・怪異・未解決事件は単なる目くらましではないかという説だ。

 だがいずれにせよ真相はわからず、彼女が失踪した理由もわかっていない。


 最後に、八瀬伊織に都市伝説や未解決事件の情報を送ったと思われる人物のアカウントは現状すべて確認できない状態になっている。「終末レポート」だけでなく他の都市伝説に関しても同様で、DMやメールなども八瀬伊織から送ったコメントしか残されていない。

 彼女がこの記録をとっている間、だれと連絡をとっていたのかまったくの不明である。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

終末レポート【怪異・都市伝説蒐集録】 冬野ゆな @unknown_winter

作家にギフトを贈る

カクヨムサポーターズパスポートに登録すると、作家にギフトを贈れるようになります。

ギフトを贈って最初のサポーターになりませんか?

ギフトを贈ると限定コンテンツを閲覧できます。作家の創作活動を支援しましょう。

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ