第43話 ザ・蛇足 設定資料 ②

腸内細菌:

最近話題の腸内細菌。

もちろん虫にも存在します。

クワガタの幼虫と同じように、パンテオンも親虫から腸内細菌をもらうことで食べたものの消化吸収ができるようになる、という設定にしました。


ゴライアスオオツノハナムグリ:

あ◯森シリーズをプレイしている方ならご存じ、最大種のハナムグリ。

幼虫は小動物の死肉や他の虫の死骸を食べて、動物性タンパク質を摂取しているらしいです。

土しか食べさせないと、サナギになってから星になったり、羽化不全したりするそうです。


幼虫が逃げた!:

実際に逃げられたこと、あります。

あれは焦りました。生ゴミのゴミ箱の後ろにいた、というのは私の体験談です。

でも本当に逃げられて焦るのは、幼虫より成虫のほう。


有効活用:

ゲテモノを食べるというテーマでは外せないのが、カブトムシ。

幼虫はテレビ番組などの影響で、意外と美味しいと思っている方もいるかもしれません。

テレビではよくアマゾンなんかの大森林で木を倒して、中から掘り当てたデカい幼虫を食べるシーンが放映されますが、あれはおそらくゾウムシかなにか、ほかの甲虫の幼虫。

腐葉土を食べているカブトムシの幼虫は、腐った泥と枯葉と木屑の味がするそうです(そりゃそうだ)。

むしろカブトムシは成虫のほうが美味しい、とのこと。

蒸してエビのように剥いて中の筋肉を食べるそうです。甲殻類に近い味だとか。

まあ、私は食べませんけど。


パンテちゃんのしゃべり方:

気門から空気を吸い込んで、ゆっくりと吐くことで音を出します。

ゆっきーの推測通り、気門の形を微妙に変えることで発声しています。

七つある気門のまず一番後ろから発声し、次の音は一つ前の気門で発声、その次はさらに一つ前の気門で、といったふうに後ろから順番に前の気門へ音を連続させて言葉を流暢に話します。

言葉を言い終わるときに一度空気を吐ききるので、『〜ですー』という感じで間延びすることがあります。


駅図書館:

実在する駅がモデル。

地方のローカル線の一駅にすぎないのですが、とても外観が素敵で鉄道マニアからの評価は高いようです。


城跡公園:

これも実在する公園がモデル。

かつてこの城のお殿様は幕府の老中になって質素倹約に取り組みました。


おまわりさん:

田舎の頼れる警察官。

年配のベテランは、柔軟な対応という名の事なかれ主義。

敬語の使えない若造は、一見チャラそうでその実、クソ真面目。

お気に入りのコンビなので、機会があればどこかで再登場させたいです。


天然早とちりのオードリー:

突然思いついたキャラクター。

踊と書いて『おどり』と読む名前は、以前から考えていました。

不破踊(ふわ・おどり)という名前は、往年のハリウッド女優から。

背が高く、ポニテがトレードマーク、ちょっと甲高いアニメ声。

わざとか、ってくらいの早とちらー。


桜子の父と母:

桜子が小学五年のとき、父が都会の本社に転勤となったため家と土地を残したまま、家族ごとお引越し。

桜子は都会でほぼ丸々中学時代を過ごした。

この間、ゆっきーとの関係は一度途絶えている。

その後、桜子が高校一年の春に、父が出世して地元に帰る。


父は人に気を使いすぎて息も絶え絶え、コンプラやハラスメメントにビクつく中間管理職。

母は肝のすわった現役の医療系。


ゆっきーの母:

未登場。

本当なら「おでんわ、おでんわ」で三人目の会話相手として登場させるつもりでした。

長くなったので泣く泣く割愛。

耐久値の高い、ネアカの専業主婦。


持ってる……?:

そうです、持ってないといけません。

男女問わず。

持ってないなら?

コンビニかドラッグストアで今すぐ買ってくるのですぅ!


母が「お母さんの貸したげようか?」と言うシーンを、「お姉ちゃんの、借りてこようか?」にしなかったのは、我ながら英断でした。


男性ホルモンが……:

おそらくこのお話のなかで、最も理解を得られなかったのではないかと心配な箇所。

男性ホルモンが、捕食者である肉食動物の存在を感じさせ、その結果、非捕食者がストレスを感じるという説。

これをもとに、男性ホルモンがパンテオンの初齢幼虫にストレスを与えてしまう、という話を思いつきました。

少し古いですが、代表的な論文を紹介。


Olfactory exposure to males, including men, causes stress and related analgesia in rodents


Robert E Sorge, Loren J Martin Kelsey A Isberster et.al

Nature Methods 2014; 11: 629-32


これを読んだときは、ちょっとびっくり。

研究は本来、バイアスを少なくするために条件をできるだけそろえるのですが、まさかテーマによっては研究者の性別までそろえる必要があるとは。


ただし論文はこれが正しい、というものではなく、こういう説を展開しますよ、その根拠はこうですよ、と説明するもの。

現時点で研究者の性別までそろえるべきとはなっていないと思うので、あくまでこの論文はひとつの説にすぎないのだとご理解ください。


魔界の文明度:

国によって文明度にかなり差があります。

一番進んでいるところで、だいたい第一次世界大戦後くらい。

文明度が低いところは飛鳥時代レベルだが、こういう国は大抵魔法が強力で、一概に遅れているとは言えない。


魔界の戦争状態:

群雄割拠の大戦国時代。

人口10万人くらいの都市レベルの小国家が乱立して、飽きもせず300年以上もの間、戦争を繰り返しています。

マジョルカの本国は、魔界統一に手が届くとされるトップ3のうちのひとつ。

現在、休戦・停戦状態となって戦争をしていない国が三十を超え、魔界史上もっとも平和な時代に入ろうとしています。

マジョルカの言葉はあながち全部ウソというわけではなかったのです。


『託宣』:

ルール無用の戦国時代かと思いきや、共通の約束事があります。

太古の昔にいたとされる伝説の預言者の言葉、通称『託宣』がそれ。

魔界のジュネーブ条約。


魔界の言語:

あまりにも多くの民族が混在する上、言語能力や発声器官に大きな違いがあり、魔界の言語は星の数ほどあります。

そのためテレパシーなどの精神感応に、ジェスチャーやボディーランゲージを含めたコミュニケーションがよく用いられています。

これは階層を超えて使えるので、共通言語のような扱いになっています。

精神感応器官がなくても、初歩的な会話は習得可能。

なんとなくで通じ合える。

いつか魔界へ旅して、現地の人たちとコミュニケーションをとってみたい。


マジョルカの上司:

テキトーな性格の愛玩動物系獣人。

姿は未登場。セリフは一言のみ。

地方貴族の末っ子で、コネで軍の部隊長に。

同僚からは小馬鹿にされているが、部下からは好かれている。

成果はきちんと出しているので、上層部からの覚えはめでたい。


ウララ:

春に羽化したから、ウララ。

春うらら。

にひっ。

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