【KAC20247】『僕は永遠に。君の見た赤を知ることはない』

『赤。
　それはある種、僕と彼女を隔てる壁のような色だ。
　彼女の感じる赤と。僕の感じる赤には差がある。
　その差は。永遠に埋まらない。
　それは僕らの体の成り立ちが違うから。
　有機物の塊と無機物の塊。
　彼女と僕の決定的な差。』

　僕はアンドロイドで。
　君は人間。
　だけど。今の世界では当たり前の様に入り混じっている。
　なにせ。世界は人口抑制策に失敗し、人口減少の危機にあるのだから。
　
　僕と君は同じ時間の中を生きる。
　だが。見ている世界は違う。
　僕はそれがもどかしい。
　それを象徴するのが赤で。

　そのギャップが埋まる事は永遠にないだろう。
　例え愛し合っていてもだ…