せめて私は、彼女のことを覚えていようと思う

生きる術を持たない者を、都合よく利用するということもあるこの世

今思えば
あたしもそうして都合良く使われていただけだったのかも、
と我が身を振り返る

売られた女たちが、狭い世界の中で
それでも日常をあるがままに生きて
ほんの少しの、思い違いが
その子の運命を変えてしまって

理不尽、不条理、と
叫んでみても彼女はもう帰ってこない

友の後悔は如何ばかりか

ならば、せめて
この物語に出逢った私は、
彼女のことを忘れずに覚えていようと思う