花街に生きる純粋なこころ

昭和の終わり、船乗りを相手にした離島の花街(っていうのかな?)が舞台。
”売られて”来たことを悲観する主人公と、同じ境遇にいながら明るく生きる花。
彼女達の暮らしとその後が書かれている。

花街という関心引く舞台設定と二人の暖かい関係性の対比がすごく効いていて、だからこそラストの誰もが共感するただただ純粋な後悔が生きている。

例えば同じテーマを現代の大学を舞台に描いたら退屈になる。先達がたくさんあって、もうひとつ加えれば重たくなりがちなこのテーマを読みやすくて心に響く作品に出来ていてめっちゃ好きです。

一つ気になったところは構成を綺麗にするために意図して二人の描写に徹底されてますか?その効果ですごく読みやすくなって良かったです。けど作者さんの筆致で突貫の例になりますが「お客さんが来ない晴れた日のただ自然が綺麗な島の様子」「停泊が多い荒れた海」だったりキャラクターで言えば「花街にある良心」、女将さんや他のお客さんの描写を読んでみたいです。

もっとわがままに書かれた作者さんの自我がぶりんぶりんに出てる文章を読んでみたいです。