自転車に乗れるように練習をする子供の頃。あなたの後ろを支えるのは父親であったでしょうか。それとも、母や兄姉でしょうか。主人公は父子家庭。自転車を支えたのは、父親でした。父親は自転車だけでなく、主人公の人生を支えます。しかし、支えられていたのは子だけでなく、父親もまた、子の成長に支えられて生きたのではないでしょうか。千文字足らずに、親子の愛情と信頼がギュッと詰まった、心温まる掌編。おすすめします。
或いは、こんな風景もかつては日常だったかもしれない。自分では経験がなくても、見かけたことのある人は多いだろう。「離さないで」と声をかけつつも、どこかその時を期待している自分。離したくない、離すわけにはいかないその手をいずれ離さなければならない、親。情の薄い人のほうが胸が傷まずに済むことを、ずるいと思ったこともあったけれどこの痛みは、降り積もった記憶の数だけ自分の心を支えてくれるそう、信じたい。
僅か千文字足らずの小品。なのに、読み終えた後、まるで一編の映像作品を見た様な深い読後感を読者は味わう事でしょう。日常の中に孤独を感じている人にお勧めします。読んでみて下さい、勇気が出ます。
「はなさないで」から始まる物語。かなり、グッとくるものがありました。
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