絢爛な語で彩られる遺灰と秘宝の都で、零れた灰一粒ほどの想いを巡る物語

中華王朝風の異世界の女王と巡礼者を絢爛な語で語る幻想小説。

膨大な語と漢詩風の文体を持て余すことなく、読みやすく、でも、緻密に世界観を作り上げていて見事。
酉島伝法先生などの異常ルビSF小説が好きなので一語一語楽しめました。

王朝の大説のような壮大なサーガに見えて、実際は彼女たちの灰燼の匂い漂う悠久の都で見落とされるほど僅かな想いを掬う、稗史小説というのもよかったです。

いつかこの世界観で長編を読みたい。