罪は巡る

魔女狩りの時代の悲惨な、だけど少しばかりの救いがある物語。


ヨハンという貴族の視点で話が進みますが、そのヨハンという男は本質的には善良で、ただ想像力が欠如していたことが悲惨であり、また最後の救いになったのでしょう。

そのヨハンが思い知り、そしてそれが、ニュルンベルクの街の歴史にわずかばかりの修正を齎す。
それは救いではありますが、一方で同じような状況になっても自らを省みず、自分たちの正義と、正義を盾にした妄執によって殺戮を繰り返す人間たちの方が圧倒的に多いのだろうと思うと、気分が沈みます。

そんな色々なことを考えさせられる物語でした。