世界が言葉でできていなくて本当に良かった

紙の上に乗っかったりパソコンなどの液晶に映りこんだりする文字というやつ。
この文字に〈冬〉が来たというのである。

〈冬〉が来たら文字達は縮んでささくれ立ち、互いに干渉し合い喧嘩を始めてしまう。

さて、そこで「水」の字を挟み込んで保湿をしてやろうと考える者が出てくる。
「水」では字数が多くて煩瑣だから「氵」を付ける。
終いには効果より副作用の少なさ、〈安全性〉を重視して「シ」に落ち着く。
しかも偶数番目に「シ」を付けるのだから頻度としては二分の一である。

さらりと「副作用の少なさ、〈安全性〉」と書いたが、世界が言葉で出来ていると文字に「氵」が付いただけで大混乱を起こしてしまうのである。
この混乱ぶりが見所だからぜひ読んで見てほしい。

ところで最後に出てくる〈偶数番目に「ネ」がつく文書〉が書かれた時は「礻」つまり「しめすへん」が必要となるのだから「示し不足」なのだろうか。
あるいは「衤」で「ころもへん」だから「衣不足」として服が足りなかったのか。

同じく最後に出てくる偶数番目に「イ」が書かれた文書は「亻」だから「にんべん」つまり「人手不足」の時に作成されたのだろうか。

などとボンヤリ考える。