まさに中学2年生の時に書いた小説(ほぼ処女作)が出身地の図書館に収蔵されていた件について

安崎依代@『比翼は連理を望まない』発売!

なお、作者は「できれば知らないままでいたかった」と供述しており、関係者が詳しい経緯を調べています

『作家たるもの、永遠に厨二たれ』をモットーとする安崎なので、今でも黒歴史は日々量産され、積み上げられているのだが。


 最近、思い出したというか、知ったというか……とにかく『これは知られたくない……!!』という黒歴史がある。


 それでは聞いてください。


 安崎、処女作とほぼ同じ時期に書いていた人生3作品目の厨二病マシマシの小説が、出身地の図書館に保管され、利用者の目に触れている可能性がある。


 というか、確実に触れている。




【まさに中学2年生の時に書いた小説(ほぼ処女作)が出身地の図書館に収蔵されていた件について(※タイトル)】




 安崎の執筆歴は、まさに厨二病の真っ只中、中学1年生にさかのぼる。初めて書いた小説は、現代×和風×バトル物だった。


 処女作に飽きた頃、並行して書いていた作品が平安×バトル物で、人生で3作品目として書いたのが、この2作品目の番外編……というよりも、独立短編のような作品である。


 なぜ独立短編を書いたのか。


 実は安崎、クラスメイトから「コンテストに出さないか」と誘いを受けたのである。


 昔から自分の創作物に謎に自信があった安崎。執筆当初から「私、小説を書いてるの!」と誰にでもカミングアウトしていたし、何なら私の作品は友人内で回し読みされていた。


 よって私が小説を書いていることはクラスメイトならば誰でも知っていた。四六時中、口を開けば自創作の話題しか喋らなかったので、倦厭されてボッチにもなったが、これは今思うと全面的に私が悪いと思う。私だってそんな変人とは友人になりたくない。


 閑話休題。


 私に誘いをかけてきたのは、自由選択授業という枠で国語を選択していたクラスメイトだった。


 何でも、地元主催の文芸コンテストに学生部門が新設されて、選択国語の授業ではそこに出品する小説を一人一作書いているのだという。「飛び入り参加オッケーらしいから、依代ちゃんもどう?」という話だった。


 もちろん、私はその話を受けた。そりゃあもう、意気揚々と受けた。「昨日今日、小説を書き始めた人間とはわけが違うのよ!」と調子に乗ったことも思っていた。自分も書き始めて一年経つかどうかといったところであったのに。というか、調子に乗って受けたくせにメチャクチャ難産で、締切ギリギリにしか仕上がらなかった覚えがある。その辺りのスケ管の甘さは今も変わらない。


 話が逸れた。


 とにかく、私は、我が校で唯一、選択国語外の飛び入り参加者としてコンテストに応募した。


 そして見事にトップ賞を取った。我が校で一位ではない。映えある第一回大賞受賞者として、コンテスト内堂々一位を奪取してきたのである。地元の地方新聞にも名前が載った。歴代コンテスト受賞者の先頭に名前が刻まれているはずである。安崎、昔から謎に運が良いのだ。


 しばらくその『受賞』は、安崎の勲章となった。


 しかしそこから18年、公募に挑み続けるも受賞には至らず、最初の『受賞』は安崎の記憶に埋もれていった。




 ……というわけで、公募歴18年目にして御縁をいただき、何とか商業作家の端くれになれた安崎は、最近までそのことを忘れていたわけなのだが。


 時は過ぎ、現在。


 安崎は通勤に電車を使っているのだが、駅に入っているギャラリーで、年に1回、今でもそのコンテストの新しい受賞作達が展示される。


「懐かしいなぁ……私もあの時、展示されたっけ」「今あの時の作品を読み返したら、発狂しそうなくらい厨二病な文書が並んでるんだろうなぁ」「てか、万が一あれが『安崎依代』の文書として今の読者様方の目に触れたら羞恥で死ねる」と、感慨深く安崎は今年の受賞作を眺めていたわけなのだが。


 そんな時、こんな立て看板が目に飛び込んできた。


『受賞作を纏めた文芸誌を、事務所で販売しております』

『歴代の作品集も併せて発売しております。お声がけください』


 ……。


【歴代の】

  【作品集も】

    【併せて発売しております】


 だと……!?


 安崎は大いに慌てた。


 文芸誌。確かに授賞式の時にもらった覚えがある。「わー! 私の作品、一番最初に載ってるー!」って鼻高々だったから、確実に載っている。


 てかあの文芸誌、図書館の郷土資料棚で見たぞっ!? あの時は「わー、何か見覚えのある背表紙とタイトル」って思っただけだっただけど……(検索)……ぎゃぁぁあああっ!! やっぱり収蔵されとるぅぅぅぅっ!!


 調べた範囲では、さすがに古すぎてもう販売はされていないらしい。しかし図書館にある分は、誰でも読もうと思えばいつでも読める。


 あの文芸誌が纏められた当初、私はすでにプロ作家を目指していた。目指してはいたのだ。


 しかし実際にプロになってからは、思いもしなかった。


 これは、かなり、恥ずかしい。


 自分の商業作品と、ほぼ処女作黒歴史が同じ棚に並ぶ日が来るなんて、一体誰が予想できるって言うんだよ……!!(実際問題、出身地の図書館の郷土資料棚に私の商業本は収蔵されているので、リアルに同じ棚にいる)




 世に作家はごまんとあれども、出身地の図書館に中学生時代の厨二病満載創作文と、現在の商業プロ作品が収蔵されている作家は、私くらいなのかもしれない。


 後は文芸誌を手に取った方々に「この文書書いたやつ、今プロ作家やってるんだってよ」と覚られないことを祈るばかりである。



【了】

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まさに中学2年生の時に書いた小説(ほぼ処女作)が出身地の図書館に収蔵されていた件について 安崎依代@『比翼は連理を望まない』発売! @Iyo_Anzaki

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