猫さん。君が言葉を喋れたら、どんなことを語ってくれるの?
- ★★★ Excellent!!!
こんな経験がある人、いらっしゃらないでしょうか?
道を歩いていて、突然猫から「にゃ!」とか話しかけられる。自分のことをじっと見ていて、何か言いたそうな感じはする。でも、「何を言いたいのかわからないよ~」と、妙にもったいない気持ちになった経験。
こういう時、猫の言葉が話せたらいいって思いますよね。過去に何度か猫に話しかけられた経験がありますが、結局用事はなんだったんだろうなあ、と何年経っても不思議なままです。
本作では、そんな想いが形を取ったかのように、「猫が人語を話せる」という現象が世の中に存在しています。
しかし、「話せるのは一生に一回だけ」という制約つき。
それでも、作中に登場している猫はずっと人の言葉を喋り続けています。「一回とは具体的にどこまでが一回なのか」と口にし、かなり流暢に人の言葉を話し続ける。
この辺りの妙な理屈がとても楽しく、ほのぼのとした気持ちで読みました。
世界観設定のオリジナリティもいいし、その先での「一回がいつ終わるのか」のルール設定も楽しかったです。
短い中で一個の世界が凝縮されていて、とても充実した読書体験の得られる作品でした。