「或る昼下がり」

咲いたばかりの蒲公英たんぽぽ

無惨に刈られたそのあとに

すずめが一羽

舞いおりた

なにをそんなに夢中になって

食べているのだ

虫か?

それとも草の種か?

目の前まで近寄ってくる

わたしが怖くないのか?

それとも気づいていないのか

そいつに話かけてみる

おまえも一人かい?

やわらかい春の陽差しもそっちのけで

夢中でついばんでいる

仲間が三羽やってきた

なんだ、友達がいるじゃないか

風のここちよさに

すこしまどろむ

部屋の前を

看守が横切った

皆、飛び去っていった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る