「生還の朝」

冷たいパンを

ひと口かじる

水筒の熱い茶を

震える手で

コップに注ぐ

その熱で

凍えた両手を温める

搏動とともに

温められた血液が

全身へと行き渡る

ゆっくりと

身体が温まってゆく

山陵から昇る朝日が

独房のなかを

光で満たしてゆく

白い吐息は

星間物質のように

たくさんの小さな粒となり

神々しい

その光の帯のなかで

輝きながら

そっと溶け込んでゆく

鳥の声が聴こえる

嗚呼

わたしはまだ

生きている

いまここに

たしかに

生きているのだ

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