「春風」

なつかしい風景

なつかしい人達

わたしが捨てた故郷

わたしが捨てた人たち

わたしを捨てた人たち

もう目にすることはない

あの場所に立つこともない

そうか

わたしは死んだのだ

生きながらにして

死んだのだ

かなしいくらいに

澄みわたる青空と

手のひらほどしか開かない

窓から吹きこんでくる

春の風のにおいは

あの頃と

なにも変わらない

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