「茶」

何が為に生まれ

何が為に死にゆくのか

真実は誰にもわからない

真実などないのかもしれない

ただひとつ

たしかなことは

今という瞬間が

あるということ

しかしそれも

つぎの瞬間には

幻となり

思い出となる

よろこびも

かなしみも

くるしみも

すべては

夢幻にすぎないのかもしれない

それもまた一興

鉄格子の隙間から

見上げる月と

思い出を肴に

静かに茶を飲む

いまはこれでいい

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