「蜘蛛」

ただひたすらに

糸をむすうに張り巡らし

その足を

器用にうごかし

周りを警戒しつつ

はやく、正確に

そして精密に

だれに教わるでもなく

真似るでもなく

遥か遠い昔から

その血の奥深くにある

生きてゆく為の本能が

それらすべてを

突きうごかすのであろう

なぜ生きるのか

なぜこのような姿で生を受け

ここにいるのか

ただひたすらに

今を生きる彼等に

そのようなくだらない思考は

ありはしないであろう

月に照らされ

漆黒の闇に浮かぶ

その姿は

ただひたすらに

うつくしい

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