この探偵、詐欺師だけど、つまらぬ嘘は言わないよ

詐欺師が探偵に転職。されば、嘘をついて言いくるめて解決するのでしょ、そう思うところ。

いやいや、キチンと芯を食っているのです、事物の真実を。

犯罪者に反則はありません。犯罪そのものが社会における「反則」ですから、達成する手段について自重することはありません。何でもありの世界を生き抜けるのは同じ穴の狢。蛇の道は蛇。正義漢が真正面からぶつかっちゃ勝てませんよ！

ところが事件が決着したところで気づくのです。実は常識に嘘が含まれていて、キチンと平らに直すと詐欺師の方が真実を言っていたと。

嘘をついているように聞こえて、見誤ってはいけないものをキチンと教えています。誠実に。

この探偵、詐欺師だけど、つまらぬ嘘は言わないよ。嘘ならとびきり面白い嘘を。

そう。この小説のように。