第17話

どう説明するかは後で考えることにして、とりあえずスマホで現在地を調べ、家に向かうことにした。

現在時刻は夜10時。

仕事に疲れたサラリーマンたちが疲れた顔をして歩いていくのを横目に僕は考える。


何を、というのはもちろんこの提灯とお面をどうするかということだ。

男がお面と提灯は持っていても碌なことないと言っていた。

ということは、この2つを持っていればまたお狐様が迎えに来るんじゃないだろうか。

それに、またおいでって言っていたということは、もう1度行くことが可能なのだろう。


「供養ってことは神社だよな。狐の神様だから稲荷神社か?」


でも受け入れてもらえるのかな。

なんか念とか込めてありそうだし。


また、スマホが鳴った。

母親だった。


「……」


出ないことにした。過干渉のあの人を相手するには今は精神的に無理だと思った。


電話が切れたと思ったら絶えずずっとかかってくるので、嫌になって電源を切った。

めんどくさいことになるなぁと思ったけど、電話を無視するという初めてのことになぜだか笑ってしまった。


今は、誰にも会いたくない。


今までのことを説明するのもめんどくさいし、そういえばされていて何も解決策を考えていない相談事を考えるのもめんどくさい。


「気まぐれ、起こしてみるかぁ」


今までイエスマンだった僕が急にノーと言ったらどんな反応をするのだろうか。


「ちょっと面白そう」


あの気まぐれな神様たちに感化されたようだ。

絶対にしようと思わなかったことを、これからするのだから。


手に持っていた狐面と提灯を見る。

供養はやめておこう。きっと迎えにくる。

あの人たちとは、また会いたいし。


もうひとつ飴を口に入れて、僕は心の底から笑った。

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帰り道は御神灯と共に 軽原 海 @6686

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