タイトルからは想像できない深みのある物語

展開、描写、キャラクター全ての面で高品質な一作!
お色気なろう小説と思いきや、とんでもなく深みのある真摯な小説でした。

無双チート系とはある意味真逆の、落とすところまで落とす展開はWEB小説的ではないのかもしれないけど、その分物語に圧倒的な深みが出て、すごく感情移入してしまう。

序盤で丁寧に張られた伏線が回収されるたびにカタルシスがすごくて、この展開力には感心してしまった。特にどんでん返しと言っても差し支えないくらいの大きな伏線回収もあるので、ミステリー好きにも刺さるかもしれない。

描写面も流石の一言で、コメディ調の部分はさらっと小気味よく読めて、それでいて重みのあるシーンはしっかり心理描写を描いてくれる。
戦闘描写もしつこくないのに、映像が浮かぶようで、脳内では超作画なアニメーションが勝手に流れ出していた。

キャラクターの描き方にも感嘆してしまう。
初登場時点では、比較的分かりやすいキャッチーなキャラ付けがなされていて、印象に残りやすいようになっている。
しかし、物語が進むにつれて各キャラクターの新たな一面が描かれていって、最終的にはどのキャラクターも一言では説明しきれない複雑さを持った魅力的なキャラクターになっている。
こういう、物語の展開と絡めてキャラクター造形を深めていくやり方は作者の筆力を感じてすごく勉強になる。

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