凍火の謎

第6話 氷の迷宮

リアンの旅は彼を氷の迷宮の入口へと導いた。伝説によれば、この迷宮は凍火の結晶を守るために古代の魔法使いによって作られたとされている。巨大な氷の壁が天に向かってそびえ立ち、その表面には不思議な模様が刻まれていた。リアンは一瞬、その壮大さに圧倒されたが、すぐに自分の目的を思い出し、迷宮の中へと足を踏み入れた。


内部は外から想像もつかないほど複雑で、無数の通路が入り組んでいた。リアンは道なりに進むことを選んだが、彼の直感が彼を正しい方向へと導いていくことを信じていた。壁は時折、彼の動きに反応して光り、その光が次に進むべき道を示しているようだった。


しかし、迷宮は単なる通路の集まりではなかった。リアンが進むにつれ、様々な試練が彼を待ち受けていた。最初の難関は突如として現れた氷の壁だった。壁は厚く、通常の手段では破壊することができない。リアンは一瞬たじろいだが、すぐに冷静を取り戻し、自分の内にある氷と炎の力を呼び覚ました。彼は手を壁にかざし、静かに集中すると、壁はゆっくりと溶け始めた。リアンの氷の力が壁を穏やかに、しかし確実に解きほぐしていったのだ。


次の試練はより複雑で、迷宮が生み出した氷の獣だった。獣は凶暴で、鋭い牙と爪を持ち、リアンに襲いかかった。しかし、リアンは慌てず、氷の獣と対峙しながら、自分の炎の力を制御した。彼は手から炎を放ち、氷の獣を包み込んだ。炎は獣を傷つけることなく、その怒りを静め、獣はやがて穏やかになり、リアンの前から消え去った。


氷の迷宮はリアンにとってただの物理的な難関ではなかった。それは彼自身の内面と向き合う旅でもあった。彼は自分の力と、それをどのように使うかを理解し始めていた。リアンは一歩一歩、確実に前へ進んでいた。彼の心と魂が彼を導き、凍火の結晶へと近づけていった。

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