第17話 終戦の討論

イシュカルドの広場での衝突が収束し、静かな空気が街に戻ってきた。リアンの行動によって生じた一時的な平和の中、彼はイシュカルドとファイアハートの代表者たちとの重要な会議を開催するために、街の議事堂へと向かった。彼の手には凍火の結晶が握られており、その輝きはリアンの周囲を優しく照らし出していた。


議事堂は重厚な石造りで、長い歴史の重みを感じさせる建物だった。高い天井からは吊り下げられた大きなシャンデリアが輝き、広いホールは重要な決断が下される場としての威厳を漂わせていた。リアンは深呼吸をしながら、議事堂の大扉を押し開けた。


中にはイシュカルドとファイアハートの代表者たちがすでに集まっており、彼らの間には緊張感が漂っていた。彼らの視線はリアンに集中し、彼の手にある凍火の結晶に注がれていた。リアンは堂々と彼らの前に立ち、深く一礼をした。


「イシュカルドとファイアハートの尊敬する代表者の皆さん、私たちの世界は長い間、氷と炎の争いに苦しんできました。しかし、今、私たちは新たな道を切り開くチャンスを手にしています。この凍火の結晶は、私たちが和解し、共に歩むための鍵となるでしょう。」


リアンの言葉には確固たる信念が込められており、会議場にいる代表者たちもその真摯さに心を動かされた。議論は始まり、初めは互いの疑念と恨みが言葉の中に滲み出ていたが、リアンの冷静な説得と凍火の結晶から放たれる穏やかな光によって、次第に話し合いは建設的なものへと変わっていった。


リアンは一人一人の意見に耳を傾け、自分の考えを丁寧に説明した。彼の言葉は心からのものであり、それが代表者たちの心に響いた。議論は長時間にわたって続き、夜が更けていく中で、氷と炎の国の間に新しい理解と希望の光が徐々に生まれていった。

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