第18話 凍火の誓約

熱心な討論の後、議事堂の重い空気はやわらぎ、イシュカルドとファイアハートの代表者たちの間に新しい理解と信頼が芽生え始めていた。リアンは、自分の言葉と凍火の結晶が人々の心に届いたことを感じ、深い安堵と満足を覚えた。彼は議事堂を後にし、夜の静けさの中で母親の家へと向かった。


家に着くと、母親が暖かく迎え入れてくれた。彼女の目には誇りと愛情が満ちていた。リアンは母親の隣に座り、今日の出来事を静かに語り始めた。


「母さん、今日、私たちは新しい歴史を刻みました。氷と炎の国が手を取り合い、共に未来を築く第一歩を踏み出しました。」


母親はリアンの手を握り、「リアン、あなたは本当に大きなことを成し遂げたわ。私はいつもあなたを信じていたけれど、あなたがこんなにも多くの人々の心を動かし、平和への道を切り開くとは…あなたは私の誇りです。」


リアンは母親の言葉に感謝の気持ちを込めて答えた。「母さん、私がここまで来られたのは、あなたの愛と支えがあったからです。凍火の結晶は強大な力を持っていますが、それを正しく使う力は、あなたから学んだ愛と理解から来ています。私たちの旅はまだ終わりではありませんが、今日、私たちは真の変革の道を歩み始めました。」


母親はリアンに優しい微笑を送り、二人はしばらく言葉を交わさず、ただ静かに夜の平和を共に感じた。リアンは自分の心の中で新たな誓約を立てた。彼はこの新しい和解と信頼を守り、氷と炎の国の未来を照らす光となることを誓った。彼の旅は多くの困難を乗り越えてきたが、今、新たな希望と愛に満ちた未来が彼の前に広がっていた。


(了)

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氷炎の戦記 青木タンジ @sakaaaaaan

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