第4話 禁断の旅立ち

使者の言葉がイシュカルドの街に重く響き渡った後、リアンは自らの運命について深く考え込んだ。彼は母親の家に戻り、夜が深まるにつれ、彼の思考はより重く、より暗いものになっていった。リアンは暖炉の前でじっと座り、炎を見つめながら、自分の内なる声に耳を傾けた。


「ファイアハートの使者の言葉…それはただの脅しではない。彼らの怒りは、真実の火のように燃えている。そして、イシュカルドもまた、その冷たい誇りを曲げることはないだろう。」


リアンの心は争いの恐ろしいビジョンで満たされた。彼は戦いの中で育ち、その痛みと損失を知っていた。しかし、今回は違った。今回は、彼が中心にいる。彼の血が、氷と炎の国の間に新しい道を切り開く鍵となるかもしれない。


「凍火の結晶…その力が真に世界を変えることができるのなら、私はその力を見つけ出さなければならない。母さんが言っていた伝説…それが真実であるなら、それはただの宝石ではない。それは希望だ。」


リアンは立ち上がり、母親に別れを告げるため彼女の部屋に向かった。彼女は寝ていたが、リアンが部屋に入ると、彼女の目がゆっくりと開いた。


「リアン、君は…」


「母さん、僕は行かなければならない。凍火の結晶を見つけるためだ。それが僕の、そして僕たちの未来を救う唯一の道だ。」


母親は静かに頷き、リアンの手を握った。彼女の手は温かく、その温もりがリアンの心に深く沁みた。


「リアン、どんなに遠くに行っても、君は決して一人ではないわ。君の心には、家族の愛と、イシュカルドとファイアハートの両方の力が宿っている。勇敢でいて、そして賢くあって。」


リアンは母親に深く頭を下げ、そして家を後にした。夜の闇が彼を包み込み、彼の旅が静かに始まった。彼の一歩一歩が、氷と炎の国の運命を織りなす新たな物語へと続いていく。

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