第5話 旅路の始まり
リアンがイシュカルドの門をくぐり抜けたとき、夜明けの光がかすかに地平線を照らし始めていた。空は紫から青へと変わり、夜の冷たい帳がゆっくりと持ち上げられていく。彼の足跡は新雪にくっきりと刻まれ、一つ一つが彼の決断と勇気の証だった。
イシュカルドの壮大な城壁が背後に小さくなるにつれて、リアンの心には未知への不安と期待が交錯した。彼の前に広がるのは、果てしなく続く雪原と、遠くにそびえ立つ氷の山々。この厳しい自然は彼の故郷の一部であり、彼の心の中にも同じ氷の強さと静けさが宿っている。
旅の初日、リアンは風のうめき声と自分の呼吸だけが聞こえる孤独な道を進んだ。寒さは容赦なく彼を包み込むが、彼の内にはファイアハートの血が流れており、その熱が彼を内側から温めていた。彼は時折立ち止まり、風に運ばれてくる遠くの狼の遠吠えや、氷の下で眠る川のせせらぎに耳を傾けた。
夜が再び訪れると、リアンは小さな洞窟を見つけ、そこに身を寄せた。彼は薄暗い闇の中で、簡単な食事を取り、明日への準備をした。彼の思考は凍火の結晶へと向かい、その神秘的な力がどのような影響をもたらすのかを想像した。しかし、彼の心は確かなもので、彼の目的は明確だった。
リアンは眠りにつく前、一つのことを心に誓った。どんな困難や試練が待ち受けていても、彼は諦めない。彼はイシュカルドとファイアハート、そして世界全体のために、平和をもたらすために戦う。そして、この旅が彼自身の運命をも変えることを、彼は感じていた。
星々が輝く中、リアンは静かに眠りに落ちた。氷と炎の息子の旅が始まった。それはただの旅ではなく、新たな章の幕開けだった。
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